業界が外国人採用を提案、深刻なエンジニア不足で

【ジョージタウン】 製造業やソフトウェア開発の分野ではエンジニア不足が深刻であるため、外国人採用が必要だという声が業界から上がっている。
 マレーシア製造業連盟(FMM)ペナン支部の前会長であるジミー・オン氏は、パンデミック後の経済回復により人材不足が深刻化しているとし、人材不足の原因として、▽多国籍企業にエンジニア人材を奪われたこと▽世界的に需要が急増したため工場に人手が必要なこと▽大学の工学系学生の定員が少ないことーーを挙げた。
 同氏は、STEM(科学、技術、工学、数学)に重点が置かれていない現状の教育システムを見直す必要があるとし、小学校からプログラミングを教えている国に倣うべきだと主張。業界からは、現状、保守的に見積もっても全国で約1万4,000人のエンジニアが不足しており、ペナンだけでも約6,000人が必要という意見が出ており、ペナンのある工場はパハンの公立大学に学生を採用に行ったが、パンデミックの影響でペナンへの移住を恐れたためか、採用率は非常に低かったという。同氏は、直近の解決策としてメーカーが外国からエンジニアを採用できるよう、FMMから政府に働きかけていると述べた。
 マレーシア半導体産業協会(MSIA)のウォン・シューハイ会長も、外国人エンジニア採用の必要性を訴えている。シンガポールや中国はマレーシア人のエンジニアを採用、台湾企業もマレーシア人対象にエンジニアの求人を出しているため、マレーシアも同様に、パキスタン、イラン、ロシア、フィリピン、インドのエンジニアを採用すべきだとし、半導体産業をテストケースとして、必要人材の3分の1を外国人エンジニアにできるよう政府に向け提案したと言明。一定の割合を守ることでマレーシア人の雇用を奪わずに採用数を増やせると主張した。
 クラリオン(マレーシア)のTKタン社長は、エンジニアの仕事をより魅力的にするよう政府に求めた。先行事例として、ルーマニアなどの東欧の小国では、10年前にソフトウェアエンジニアに非課税所得を認めたため、現在、年間2万人以上のソフトウェア・エンジニアが誕生し、欧州連合(EU) 企業の多くがこれらの国にオフィスを構えるという結果に結びついていると述べた。
 一方、マレーシア技術者協会(MAE)のモハド・サブリ会長は、エンジニア不足の主な原因は、過去20年間にわたる低賃金と固定された給与体系にあり、多国籍企業や大企業がより高い給与や福利厚生を提供しているため、中小企業はエンジニア採用に苦労していると述べた。マレーシア技術検査監督協会(MEINSA)のワン・ヒシャムルディン会長も、求人内容と応募者の資格とのミスマッチが低賃金の原因になっているとし、外国人エンジニアを労働力として認めることは持続可能ではないとした。
 ウトゥサン・マレーシアのレポートによると、新卒エンジニアの初任給は2000年代と同程度の月額1,500-2,000リンギにとどまっている。
(ザ・スター、12月1、2日)