解雇に関するQ&A

マレーシアの日系企業の皆様より最近弊社に頂いたご質問の中から、給与に関するものと、弊社の見解をご紹介致します。

仕事ぶりが良くないのマネージャーの解雇について

長年勤務しているにもかかわらず仕事ぶりが良くないマネージャーがいる。今まで警告書(Warning Letter)を1度も出した事がないが、解雇する事は可能か。

弊社見解

今まで警告書を出していないのであれば、今までのパフォーマンスを認めたことになり、直近(1‐2年)の成績不良での解雇は難しいです。
また、パフォーマンスが悪い場合の降格・減給も難しく、
◎ マネージャーとしての資質を精査し、勤務評価表を付け警告書を発行
◎ 改善の為の猶予期間を与える

を繰り返し、最終的に
◎ 理由呈示命令書(Show Cause Letter)を出し、必要であれば査問委員会を開き、
◎ 最終的に解雇する
といった手順が必要となります。
仕事ぶりが悪いといった証拠が必要となり、解雇までにかなりの時間を要します。
マレーシアでは勤続年数の長い従業員を成績不良で解雇するのは、非常に難しいです。

定年退職間際の従業員の解雇について

勤続20年の定年退職間際のドライバーを解雇したい。過去に大きな事故を起こした訳ではないが、最近年齢の事もあり安全面に不安を感じている。会社側は、退職金を2年分程で考えているが、何か円満な退職の方法はあるか。

弊社見解

マレーシアでは、勤続年数の長い従業員を直近の勤務成績不良で解雇する事は不当解雇となるケースがほとんどで、上記状況での解雇は無理です。
円満な退職については、会社側と当該が話し合いお互いに納得すれば問題はないかと思います。過去の労働裁判では、不当解雇で会社が負けた場合の給与未払金の最高額は24カ月分となっています。

役職定年制度について

役職定年制度の実施を検討中。留意点があれば教えて欲しい。

弊社見解

役職定年制度 = 「特定の年齢に到達した際、マネージャー職を解任され、降格と減給 (役職手当の削減等) が実施される制度」という認識であれば、役職定年制度を設ける事は可能です。

但し制度実施の際は、事前にその実施背景(理由)を全従業員に説明し、承諾書へ署名をもらう必要があります。

もし対象となる役職 (Manger) に就いている方が反対し会社が強行実施した場合、雇用契約の不利益変更で訴えられ、会社側の不当解雇 (不当な誘導解雇) と裁定される可能性が高いかと思われます。

該当役職に就いていない従業員に関しては、実施理由の十分な説明(協議)を行なった事実を証明出来れば、最終的には会社主導で実施して問題ありません。
※ 彼らにとって利益がある点を十分に説明を行って下さい。

新入社員 (これから入社する従業員) に対しては、雇用契約書や就業規則に当制度が明記されていれば、問題なく実施可能です。

繰り返し遅刻をする従業員の解雇について

日頃より勤務態度が良いとは言えず、毎日遅刻をしている従業員がいる。当社では勤怠のタイムカードを採用しており、遅刻の証拠はある。何度も厳しく注意をしているが、なかなか改善さず成果も特にない為、これ以上勤務態度が悪くなる場合は、解雇も検討している。ただ、日頃から定期的に社員査定や面談等は行っておらず、また、本人は非常に主張が強いタイプで、これまでも訴訟等に慣れている。なるべく問題が起きないよう、スムーズに段取りをする為にはどうしたら良いか。

弊社見解

「度重なる遅刻 (= 軽微な不正行為/ 雇用契約違反) 」を理由とし、懲戒処分の実施を検討出来るかと思われます。

「成績不良」に関しては、貴社の主観的な評価のみで定期的な社員査定も行なわれていないとの事ですので、成績不良の立証が難しい、もしくは立証するまで長い時間を要する事になります。

よって今回は「度重なる遅刻」のみを警告対象とし、改善が見られない場合は、(解雇を含む) 懲戒処分を実施する事が最善かと思われます。
既に口頭注意、及びタイムカードで不正行為の立証が出来ているとの事ですので、直ちに当該人へ 警告書(Warning Letter)を発行して頂き、当該人からその警告書へ署名をもらって下さい。それでも遅刻を繰り返すようであれば、その度に警告書を発行して下さい。

弊社では過去の判例も踏まえ、懲戒処分実施まで少なくとも5回以上の警告書の発行が必要になるかと考えます。

最終警告後、「なぜ遅刻を繰り返すのか」という理由呈示命令書 (Show Cause Letter)を当該人に送付し、提出された理由が妥当でないと判断出来た場合は、懲戒処分の実施が可能です。

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