農園向け労働者派遣の第一陣、インドネシア側が突然中止

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 5月31日夜に第一陣が到着予定だったインドネシア人のアブラヤシ農園労働者について、インドネシア政府が土壇場で派遣を中止したことが分かった。
同日はインドネシア西ヌサトゥンガラ州ロンボク出身の164人が農園大手のサイム・ダービー・プランテーションズが差し向けたチャーター便で到着する予定だったが、インドネシア移民労働者保護庁が派遣プロセスをキャンセルし、マレーシア渡航を差し止めたという。
在マレーシア・インドネシア大使館のヘルモノ大使は「労働許可証の発行プロセスにおいてマレーシアの規制について誤解があったかもしれない」と述べ、労働者の健康診断の取り扱いについて誤解があった可能性を示唆した。またマレーシアの人的資源省も、同日予定していたイベントを「やむを得ない事情があった」として中止を発表した。
農園産業向け外国人労働者の受け入れについては、昨年9月、マレーシア政府が人手不足に悩む業界からの要望を受けて約3万2,000人の受け入れ再開を決定。インドネシア人労働者については今年1月にインドネシア側が1万人の派遣で同意し、マレーシアのM.サラバナン人的資源相とインドネシアのイダ・ファウジア労働相が覚書を取り交わしていた。
マレーシアはインドネシアに次いで世界第2位のパーム油生産国だが、マレーシア・パーム油協会(MPOA)によると、最大で10万人もの労働力が不足している。マレーシア生産性公社(MPC)は、外国人労働者不足に伴う収穫量の減少により、今年の損失額を280億リンギと試算している。