インドネシアが再び労働者派遣を凍結、マレーシアの違反で

 【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 インドネシア政府は13日、マレーシアへの新たな労働者派遣を再び凍結すると発表した。インドネシア側はマレーシア側が4月に締結した覚書に違反したためだと説明している。ただすでに認可を受けた分については派遣手続きは継続されるという。
 インドネシアは、マレーシアで頻発した家事労働者に対する虐待事件を受けて、昨年12月に労働者派遣を凍結。それを受けて両国は今年4月、採用システムをワン・チャンネル・システム(OCS)に一本化することを盛り込んだ労働者保護に関する覚書を取り交わし、インドネシアは凍結を即時解除していた。
 OCSは、両国政府が登録する斡旋業者のみが取り扱うことになっており、労働者の所在地や雇用主の身元、労働者の権利を盛り込んだ契約書などの情報を両国の当局に報告。関係者が情報を共有することで全ての関係者が責任を負うことになっていた。
 インドネシア側は、その後もマレーシア出入国管理局がインドネシア人家事労働者の採用において廃止されるはずのメイド・オンライン・システム(MOS)を引き続き使用していたことが覚書違反に当たると主張。在マレーシア・インドネシア大使館のヘルモノ大使は、MOSを通じて認可を受けていない斡旋業者が観光ビザを利用して不法に労働者を入国させることができる状態となっているとしている。
 マレーシアでは現在、製造業で62万7,000人分、建設業で55万人分、農園業で12万人分の労働力が不足しているとされる。
 一方、批判の矛先が向けられた出入国管理局を管轄するハムザ・ザイヌディン内務相は、MOSがインドネシアだけでなく他の外国人労働者のソース国15カ国にも適用されている汎用システムだと主張。インドネシア側が派遣を凍結した場合にも、バングラデシュなど他国から調達することが出来ると述べた。