最低賃金引き上げの受益者は外国人のみ=MEF専務理事

【クアラルンプール】 マレーシア経営者連盟(MEF)のシャムスディン・バルダン専務理事は、現在検討が進められている最低賃金の引き上げについて、外国人労働者にのみ利益をもたらすだけで経済成長に貢献しないとの考えを示した。
 現在1,200リンギとなっている最低賃金は年内にも引き上げられる予定で、国家賃金評議会(NWCC)は1,500リンギのラインを政府に提案したとされる。
 15日に開催された最低賃金に関するパネルで講演したシャムスディン氏は、「多くの人は最低賃金の引き上げがマレーシア人労働者に利益をもたらすと主張しているが、実際は低賃金労働者の賃金底上げのためであって正確ではない」と指摘。2018年の調査に基づくと、約180万人の労働者が最低賃金引き上げの恩恵を受けたが、当時いた200万人以上の外国人労働者が受益者だったとし、外国人労働者がそうした「余剰金」を本国に送金するための最低賃金引き上げはマレーシア経済には何ら貢献しないと主張した。
 シャムスディン氏は、外国人労働者の送金額が正規ルートだけで年間340億リンギ、非正規ルートは700億リンギに達している可能性があるとした上で、最低賃金が100リンギ上昇するごとに外国人労働者の年間総金額が40億リンギ増加するとのMEFの試算を披露。もし最低賃金が1,200リンギから1,500リンギに引き上げられたら送金額は120ー160億リンギ増加することになるとした上で、インドネシアやカンボジアなどの近隣諸国で最低賃金引き上げが1 1.5%程度にとどまったことから考えると、提案にある引き上げ幅は大きすぎると主張した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、2月15日)