グッドイヤー、労働搾取で米国内で起訴の可能性も

【クアラルンプール】 米国・国土安全保障調査局(HSI)は、タイヤ製造の米グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバーのマレーシア工場で働く従業員に対し、労働条件に関する聞き取り調査を行った。グッドイヤーは米国・マレーシアの規制当局より外国人労働者の搾取に関する調査を受けているが、さらにHSIが調査に加わったことで、米国内で起訴される可能性が出てきた。
 グッドイヤーのマレーシア法人の現役・元社員5名がロイター通信の取材に対し明らかにしたところによると、HSI調査官は、労働条件や生活環境、賃金不払い訴訟の詳細、グッドイヤーからの脅迫、職場での事故などについて質問、雇用関連書類の提出も要求したという。
 今回のHSI調査は、2019年と2020年に、ネパール、インド、ミャンマーから来た外国人労働者185人が、グッドイヤーのマレーシア法人に対し、労働協約の不履行、不当な控除、外国人労働者への脅迫などによるおよそ500万リンギの不払い分の賃金の支払いを求めて3件の訴訟を起こした件を受けてのもの。裁判所はグッドイヤーに対し、一部の労働者への賃金返還と合意事項の遵守を命じたが、同社はこの判決を不服として控訴した。
 グッドイヤーはロイターの取材に対し、現在、労働者との和解へ向かっており、監査法人に労働条件と住宅条件の監査を依頼するなど、本件を徹底的に調査していると述べたが、法廷では外国人労働者は組合員ではないため、労働協約の恩恵を受ける権利がないと主張していた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、11月23日)