1万リンギのEPF引き出しを新たに容認へ=イスマイル首相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は16日、国民が新型コロナウイルス「Covid-19」禍から立ち直るための資金として従業員積立基金(EPF)口座から1万リンギを上限に引き出すことを認める新たなスキームを導入すると発表した。
 イスマイル首相はこれまでにi-Lestari、i-Sinar、i-Citraの3つのスキームを通じて、特別にEPF口座からの引き出しを許可したとし、2年前にパンデミックが発生して以来、734万人がスキームを利用し、引き出し額は1,010億リンギに達したと言明。しかし回復期に至ってもいまだ経済的影響を受け、収入を失ったり、生活再建中の人々がおり、さらなる引き出しを求める陳情を受けてきたと述べた。
 これについてEPFは、拠出金口座からの引き出しと支払い申請に関する詳細はまもなく発表される見通しだとした上で、本来老後のための生活資金である預金が底をつくことへの懸念を表明。こうした特別引き出しは今回のスキームで最後にすべきだとし、国民の老後資金の再構築と国の社会保障制度の改革の第一歩となることを望むとの声明を発表した。
 マレーシア経営者連盟(MEF)は、加入者が老後資金を確保するためにもEPF口座からの引き出しは特別な用途にのみ認めるべきであり、やみくもに許可するべきではないと批判した。