最低賃金引き上げ、零細企業への適用はまだ議論中

【クアラルンプール】 5月1日付けで現行の1,200リンギから1,500リンギに引き上げられる最低賃金について、ノー・オマル起業家開発相は、零細企業向けの適用ルールについてはいまだ議論が続いていると明らかにした。
 イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は先の統一マレー国民組織(UMNO)党大会で最低賃金引き上げを明らかにしたうえで、従業員数5人未満の零細企業には適用しないと発言。急激な負担増を懸念する産業界からは引き上げを段階的にすることを求める声が上がる一方で、労働組合などからは例外なく速やかに実施するよう求める声が上がっていた。
 ノー・オマル氏は、最低賃金引き上げを実施しないと従業員から訴えられるとの懸念の声が零細企業から上がっているとした上で、新型コロナウイルス「Covid-19」禍で破産した企業の多くが零細業者であったことを考慮しなければならないと言明。零細企業でも引き上げる余裕のある会社には実施を求めると述べた。
■実施は段階的に行うべき=中銀総裁■
 最低賃金引き上げについて中央銀行バンク・ネガラのノル・シャムシア総裁は、「経済混乱を防ぐために段階的に実施する必要がある」と指摘。こうした政策はインフレ対策ではなく成長を支援するために行われるべきであり、秩序だった方法で行われることが重要だと述べた。
 またシャイク・アブドル・ラシード副総裁も、最低賃金は労働者の福祉を守るための重要な政策であるとした上で、コスト削減ではなく付加価値の高い産業育成といった他の改革と密接に関連していなければならない点も重要であると指摘した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、3月30日)