従業員の病気やケガを理由にした契約解除 = Medical Board Outに関するQ&A

マレーシアの日系企業の皆様より最近弊社に頂いたご質問の中から、従業員の病気やケガを理由にした契約解除 (Medical Board Out) に関するものと弊社の見解をご紹介致します。
重病で仕事に復帰出来ないスタッフの解雇について
オペレーターが糖尿病を患い歩けない状態。目も悪い。
業務に大きな支障が出ている為、契約解除を検討したい。
以下現状
・当人、病気休暇(MC)は全て取得済。
・当人は辞めたくない意向。
・医師への相談はまだ行なっていない。
・外部の労働組合に加盟しており、労働協約(CA)が結ばれている。
そもそも契約解除出来るのか?出来るとしたらどのような手順で事を進めれば良いか?
弊社見解
解雇 (メディカルボードアウト) の検討が可能。
以下の流れに沿って対応する。
① 指定医で診断を受けさせ、業務遂行にどの程度の支障をきたすか診断を仰ぐ。
※ 医師が業務遂行が可、もしくは妥当な復帰見込み時期を明示した場合、解雇不可。
② 配置転換を検討する。
※ 配置転換の義務は判例に明記されていませんが、会社側が労使協調に則った対応を証明する為に、可能な限りの実施を弊社では推奨しています。
③ 医師の診断結果を踏まえ、会社と該当従業員の間で十分な話し合いを行う。当人の考える回復期間に関しての意見聴取も行う。
④ MCとは別に、長期療養休暇が労働協約(CA)や就業規則、個別の雇用契約に規定がないか確認。
⑤ 別の医師によるセカンドオピニオンにかけさせる。
⑥ 雇用契約に基づいた、解雇の予告通知を出した後、契約解除 (解雇) する。
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持病の悪化により勤務不可能なスタッフを解雇する際の解雇補償金について
勤続27年のマニュアルワーカー(肉体労働者)が持病の悪化により勤務が不可能となった為、解雇を検討している。
弁護士に相談したところ、解雇補償金 (勤続年数5年以上の場合20日間分の賃金 X 勤続年数)の支払いが必要と言われ、又、別の弁護士は解雇補償金の支払いなしに即解雇可能と言われた。 どちらが正しいか。
弊社見解
A. 当人が雇用法の非対象者の場合
雇用契約や、労働組合との労働協定(CA)に、契約解除補償金 (Termination Benefit)に関する支払い規定が
(i) ある場合
その条件に従って、支払いを行う。
(ii) ない場合
原則、支払う必要なし。
※但し、過去に同様のケースで、他の従業員へ当手当を支払った実績がある場合、それが社内慣習(該当従業員も同等の権利を持つ)として認められる可能性がある。
B. 当人が雇用法の対象者の場合
雇用法の条件と同等、もしくは超える契約解除補償金を、契約解除日から7日以内に支払う。
<雇用法上の契約解除補償金の額、および条件>