雇用法改正に伴う残業代に関するQ&A

マレーシアの日系企業の皆様より弊社に頂いたご質問の中から、雇用法改正に伴う残業代に関するものと、弊社の見解をご紹介致します。

雇用法適用範囲及び賃金の定義について

今回の雇用法改正にて残業代支給の適用範囲が賃金RM2,000よりRM4,000となったが、賃金とは基本給を指しているのか、全部含みの手取りを言っているのか。
また、基本給がRM5,000ある従業員には、残業代は支払わなくてもよいのか。

弊社見解

今回の改定では雇用法の適用範囲は賃金に関係なく「マレーシアで雇用契約を締結したすべての人」が対象となります。
但し:
◎ 残業手当
◎ 休日出勤手当
◎ 祝日出勤手当
◎ 解雇補償金

等はRM4,000以下の賃金の従業員にのみ適用となります。

賃金の定義ですが、雇用法第2条に「雇用契約に基づいて被雇用者に与えられる全ての支払い」と定められています。一方で、下記は賃金に含まれません。
①住居費・食費・光熱費・水道代・医療費・認可された娯楽サービスに基づく手当
②福利厚生制度に基づく手当(年金基金・定年退職基金・人員削減、一時解雇に関する補償金など)
③交通費・交通手当
④年次賞与
⑤雇用の際に必要な物事に対する費用
⑥解雇または退職にあたっての特別手当
⑦残業手当
⑧歩合給

逆に賃金に含まれる手当は下記となります。
1. 役職手当
2. その他固定諸手当


残業代を計算する上で基準となる時給を算出する際は、基本給ではなく賃金をベースとする必要があり、月次固定手当を含みます

賃金がRM4,001以上の従業員は会社と従業員との雇用契約が適用される為、雇用契約書に残業代の支払いについて記載がなければ、賃金がRM4,001以上の従業員へは残業代は支払う必要はありません。

<参照> ※会員限定公開

週45時間労働について

1週間の労働時間が週48時間から45時間へ雇用法が改正となったが、これは45時間以上勤務させてはいけないということか。
もしくは、残業代など超過勤務分を支払っていればよいということか。

弊社見解

1週間の労働時間45時間を超過した分の残業代を支払えば問題ありません。
但し、1カ月の残業時間は104時間までEmployment (Limitation Of Overtime Work) Regulations 1980で定められています。

週45時間労働への対応について

弊社では1ヶ月に1度土曜日出勤日があり、その場合週の労働時間が47時間となる。特に製造業など多くの企業も同じ問題を抱えていると思うが、会社としてどう認識及び対応を図ればよいか。

弊社見解

1週間の労働時間は45時間となり、それ以上の場合は残業扱いとなります。
従って47時間勤務の場合、2時間残業扱いとなります。

土曜日出勤日の週は:
① 2時間の残業代を支給
② 労働時間を2時間カットする

どちらかの選択になると考えます。