勤務態度が悪い従業員に関するQ&A

マレーシアの日系企業の皆様より最近弊社に頂いたご質問の中から、勤務態度が悪い従業員に関するものと、弊社の見解をご紹介致します。
目次
勤務態度が悪い従業員への対応について①
従業員本人の職務怠慢を他の従業員へ責任転嫁を図ろうとする態度から、先日当該従業員に対し警告書を発行。
ただ、物的証拠はなく、マレーシア人マネージャー及びに他の従業員からの相談がある程度。
他部署への転換も考えたが、また他部署で従業員同士の対立が発生し、生産性の低下も招く恐れがある為、現状、対応に苦慮している状況。
このようなケースの場合、どのような対処されているかアドバイスが欲しい。
弊社見解
当事案では先ず、実際に責任転嫁した行為があったのか、真偽を確かめる必要があります。既に警告書を発行されたとの事ですが、
当人は職務怠慢を他の従業員へ責任転嫁した行為を認めているのでしょうか?
・認めている場合
他の従業員へ責任転嫁 = 会社への虚偽報告 = 重大な不正行為と見なす事が可能です。
従って、再度同様の不正行為があった際、無給の二週間までの停職や減給、降格などの懲戒処分を実施する事が可能かと思われます。
(それでも態度が是正されないようであれば解雇するしか手はないかと思われます。)
・認めていない場合
会社側で実際にそのような行為があったのか調査する必要があります。
具体的には:
◎ 理由呈示命令書(Show Cause Letter)を発行し、書面で当人の意見を提出させる。
◎ マレーシア人マネージャー及びに他の従業員からも事情聴取を行い、その記録を書面で残す。
勤務評価不良で解雇する場合に会社が証明しなければならない3つのポイント
①成績不良であることに対して警告をしたと言う事実
②警告した後に改善の為の猶予期間を与えたと言う事実
③警告をして改善の為の猶予期間を与えたが、改善しなかったと言う事実
※警告書を何回か発行し、最終的に 理由呈示命令書(Show Cause Letter)を発行、または査問委員会(Domestic Inquiry)を開催し解雇する方法が一般的です。
但し、勤続年数の長い社員を直近の成績不良で解雇する事はかなり難しい事を理解しておいて下さい。
勤務態度が悪い従業員への対応について②
勤続11年の女性社員が休みを取り過ぎ(有給・病欠以外に年間17日無給休暇を取る)、勤務態度が悪いので困っている。どんな対処が可能か。
既に昇給なし、ボーナスなしと給与面でペナルティは課している。可能な限り就業しやすい場を作って休まず就業してもらいたい。
弊社見解
①年間17日の無給休暇だけでは従業員の病気やケガを理由にした契約解除(Medical Board Out)は難しい為、業務に支障をきたしているとして配置転換の提案をする。
②Junior Executiveの役職にふさわしくないとして降格・減給を提案する(判例では客観的な事実があれば本人の承諾なしで問題なくできた時もある)。
③直属の上司に逆らうなど態度に問題があるときはワーニングを出し、記録しておく。
試用期間の延長について
試用期間2ヶ月の内、病気休暇(MC)を4回も取った従業員の試用期間の延長は可能か。
弊社見解
試用期間を何故延長しなければならないかを説明すれば可能です。
勤務評価表をつけ、試用期間中に見極める仕組みを作る事が大切となります。病気休暇(MC)の取り過ぎ=健康管理が出来ていないという事で勤務評価に反映させて下さい。
勤務態度が悪い従業員の給与について
当該従業員のと契約の中で、「給与は成果が出れば昇給しますが、勤務態度や成績が良くなければ減給します」といった契約をすることはマレーシアでは問題ないか。
もしくは、毎年1年契約にして結果が出なかったら契約終了という形の雇用は可能か。
弊社見解
成果型賃金体系はいいと思いますが、勤務態度や成績がよくなければ減給は、問題があります。
勿論、当該人が自分の勤務態度や成績の悪さを自覚して減給を承諾するのであれば全く問題ありませんが、不当に減給されたと主張されれば不利です。
減給しなければいけない程の勤務成績不良を会社が証明できれば問題はありませんが、過去の判例をみてもかなり難しいと思います。
出来れば減給ではなく、昇給ゼロ、賞与ゼロをお薦めします。
なお、契約社員ベースの場合でも、更新が数年続けば当該人は一般社員と同等の権利を有するので、普通に契約終了すると不当解雇で訴えられる可能性があります。
また、試用期間について、通常は3ヶ月、どんなに長くても9ヶ月が通常と思われます。
(試用期間を1年に延長しなければいけない正当な理由を会社が持つのであれば、問題ないかと思います。)