労働時間に関するQ&A

マレーシアの日系企業の皆様より弊社に頂いたご質問の中から、特にご質問が多い【残業】に関するものと、弊社の見解をご紹介致します。

取締役 (Director) の労働時間について

マレーシアには今日現在、日本の裁量労働のようなルールはなく、一般従業員の場合はEmployment Handbookに労働時間に関しての記載があれば問題ないかと思うが、取締役(Director)の場合は、そもそもこの記載自体が不要か。日本のように、取締役(Director)に関しては労働時間等の縛りがないという認識で間違いないか。

弊社見解

取締役(Director)に関しては、現行、労働時間等の縛りがないという認識で間違いありません。
特別な条件がない限り、明記する必要はありません。
※ 2022年の雇用法改正で雇用法適用範囲変更の可能性有

昼休憩及び連続労働時間について

弊社の通常勤務時間は現在朝9時~夕方5時30分となり、昼休憩は昼12時~午後1時となる。
現在、従業員の残業時間が多くなっており、夜8時まで残業を行っている従業員がいる。

この場合、昼の休憩後は午後1時~夜8時の連続7時間勤務となるが、連続勤務時間の制限等、雇用法に抵触するか。

弊社見解

現行の雇用法 【第60条A 労働時間】では、
a. 30分以上の休憩時間なしの、連続5時間を超える労働を要求してはならないと定められております。

仮に朝9時から夜8時まで勤務した場合、
午前9時 ~ 昼12時:3時間勤務
午後1時 ~ 夜20時:7時間勤務
となり、午後は30分以上の休憩なしで連続5時間以上の勤務となる為、従業員から指摘された場合は、夜8時まで残業する従業員へは30分以上の休憩を付与する必要あります。
※ 但し、従業員が、休憩なしでの5時間以上の連続勤務を承認している場合は、問題ありません。

15分程度の休憩(ティーブレイク)の導入率について

どの程度の企業が15分程度の休憩を設けているか。

弊社見解

日系製造業の9割程が15分程度の休憩を設けています。

ムスリム従業員への金曜日の休憩時間に関して

弊社では、金曜日は昼食と礼拝に、午後1時から午後2時40分まで100分を休憩時間として付与している。
他社ではムスリム従業員に対して、どの程度の時間を金曜日の休憩時間を設けているか。

また、弊社ではお祈りは基本的には本人たちに任せており、何も制約を設けないという方針でやっている。しかし最近、2時間を超える離席や、雑談をしてるという噂も出てきており、ムスリム以外の従業員から不満の声がちらほら聞こえる。

宗教が関連したセンシティブな問題なので、デリケートに扱う必要がある事は承知しているが、何かしら対策が必要だと考えている。何か良い案や他社事例はあるか?

弊社見解

金曜日の休憩時間は、通常の休憩とお祈りの時間を含め、合計2時間の付与が一般的です。

対応について、雇用法上には記載はなく、宗教上の事項なのでデリケートな問題となりますが、
他社様の主な対応及び可能な対応は下記となります。

◎ 金曜日はムスリム従業員だけでなく、全従業員に2時間の昼休みを付与
◎ 金曜日はムスリム従業員のみ昼休みを2時間とし、退社時間はムスリム従業員のみ1時間延長
◎ 休み時間以内に帰社しない従業員へは、警告書(ワーニングレター)の発行成績評価へ反映させる
◎ センシティブな問題なので、会社として特に規定なし