雇用市場、製造業は好況の見通し=ヘイズ

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 外資系人材紹介会社ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメントが発表したアジア5カ国・地域における「ヘイズ・アジア給与ガイド」によると、マレーシアの今年の雇用市場において、製造業・エンジニアリング産業で好況が見込まれている。
ヘイズは、2020年に5Gネットワークが世界的に展開され、2025年までに全世界で17億人以上の加入が見込まれているとし、マレーシアの電気・電子(E&E)製造業界、 5Gテクノロジーに使用される多くの半導体のメーカーにとって、2021年は好況となると予想した。またアップルの部品の多くはマレーシアで製造されており、2022年にも同社から注目の製品が発表される予定であることから、E&E分野の人材需要は堅調となる見込みだ。専門的なエンジニアリングスキルを持つプロフェッショナルが必要であるため、最適な人材を探し出して獲得することがますます困難になるという。
ヘイズによると、石油&ガスセクターは2020年、原油先物価格が史上初めてマイナスとなり、一部の領域では余剰人員や失業が発生した。しかし、2021年には復活の兆しが見られ、12月に再開した入札プロセスで石油&ガスプロジェクトを勝ち取った企業では人材需要が誘発される見込みだ。一方で食品製造業界でも、2021年に堅調な採用が行われる予想だ。2020年の不確かな状況でも、不可欠なサービスとして需要は高いまま推移し、あらゆる業界のなかで最も安定した状態が続いている。給与もこの安定性に合わせ、2020年水準をたどるという。
購買やサプライチェーン分野については、マレーシアは高いスキルを持ったマルチリンガルの労働力を有し、戦略的な要地でもあるため、共有のサービスセンターやセンターオブエクセレンスに最適な場所として高い評価を得ており、このトレンドは2021年も続く事が見込まれている。効率性、生産性、拡張性、持続可能性を戦略的に計画・促進できるように、ビジネスに不可欠な要素として 、サプライチ ェーン統合に取り組む組織が増える見込み。既存・新規システムの導入と最適化、 およびテクノロジーとオートメーションの適用が行われるという。マレーシア北部や南部で多数の製造工場やMNC(多国籍企業)が新設されていることから、採用担当者は、これらの新規事業をサポートできるサプライチェーン人材に頼った堅実な採用活動を開始することが予想されている。
デジタルテクノロジー分野では、企業はますますビジネス上の意思決定にデータを活用する傾向にあり、これに関連する業務部門を拡大する企業が増加している。これにより、データの分析 や処理を行える人材の需要は、2021年を通して継続する見込みだ。こうした変化が給与体制の変革を招き、多くの企業が高度な資格を有する人材への技術手当の支給に重点を置いた、独創的な給与パッケージを模索することになり、人材が不足しているEコマースにおけるコーディングやアルゴリズムといった分野、 デジタルウェブ分野、およびよりニッチな新興技術分野の職種で、特に高い報酬が期待できるという。