マレーシアでの給与・人件費についてのQ&A

本記事ではマレーシアで人事・労務に携わる日系企業様向けに、給与と人件費についてよく頂くご質問と弊社からの回答をまとめたものです。
減給について
Q1:期間を決めれば、一時的な減給は可能か?
コロナ禍で人件費削減を希望する企業から、どうすれば合法的に減給できるか?というご相談をよく頂きます。
マレーシアで減給を行う際には、全従業員に同意を得た上、30日前までにPKフォームを労働局へ提出する必要があります。
マレーシアでは、従業員の既得権益を削減する場合には、全従業員の同意が必要となり、同意なしに減給を行うと雇用契約違反となります。
同意を得ずに減給した場合、最悪のケースとして従業員が自主退職し、雇用契約違反などを理由に後になって訴えを起こすことがあります。
そのような場合に会社が不利な立場になります。
従業員は退職した後、60日間は会社を訴える権利があります。
Q2:MCO期間中であっても何を根拠に100%給与を支払わなければならないのか?
人的資源省からのガイドラインが発令されており、これにはMCO期間は「休暇」の定義づけでなく在宅勤務などを駆使して「通常業務扱い」を作り上げるようにするよう推奨する意図があります。
詳細は以下の記事でご確認頂けます。
毎月払う手当について
Q3:毎月基本給以外に支払う手当がある場合、就業規則への追加は必要か?
ご相談の企業の就業規則にはallowanceとして交通費しか掲載していない状態です。交通費以外の項目で一人の従業員にのみ毎月特定のallowanceを出すことになりました。
この場合、該当従業員との雇用契約書上に、 special allowanceとして追記をすれば、就業規則の記載を変更する必要はございません。
尚、役職手当などの一部の固定諸手当は雇用法上では賃金に分類され、課税対象となります。
賃金の定義についての参考記事
一部の従業員への無給休暇の提案について
Q4:一部の部門のみの従業員に対して減給や無給休暇取得を依頼する場合でも、全従業員への同意は必要か?
一部の部署だけの場合は、その部署の従業員全員から同意を得て頂く必要があります。
但し減給や無給休暇奨励を実施する事実は、全社的に情報開示する必要があります。
一部の部門のみ閉鎖する場合のQ&A
福利厚生の削減について
Q5:前任の駐在員が福利厚生を分厚くしているので、削減を行いたいが合法的に進める方法はあるか?
福利厚生も、従業員に対する既得権益と見なされますので、削減するには同意を得る必要があります。
従業員と個別にコミュニケーションをとり、都度調整することが好ましいでしょう。
マレーシアはイギリスに習った慣習法(common law)の国であるため、法律に書かれていないことは、過去の裁判の判例が効力を持ちます。
弊社では新サービスとして、マレーシアの労働法Employment Act1955についてと、ケーススタディ形式で過去の相談事例の対処法を学べるオンライン講座をスタートいたしました。
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